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肥溜め日記「吊革」

最近電車の運転が雑だと思い、友達に「最近この電車すごく揺れませんか。運転が雑ではないですか」と言うと、友達は「あなたが太ったから揺れに耐えられなくなったのです」と言われ傷ついた。
そんな今朝は線路に身投げした方によって15分の遅れが出ていた。
私は太っているので、どーせ太っているので、急停車に耐えられず何度もよろけた。
そして今朝も改札で誰かを待っている女性を見た。
その女性は毎朝決まった時間に誰かを待っている。
今日は15分も遅れていたというのにまだ誰かを待っていた。
会社帰り、まだその女性は誰かを待っていた。
あれだけ長時間同じ場所に立っているのに誰も不振に思っていないようだった。
きっと少しだけ透けているから皆気づかないのだろう。
帰りの電車は満員だった。
私はよろめきながらなんとかつり革に掴まることが出来た。
しかし私が掴まっている吊革だけ真っ赤だった。
その吊革は何かのレバーのようになっており、下へと引くとガチャンという音がした。
その音と同じタイミングで同じ車両のどこからか「ありゃっ!」という声が聞こえた。
何だろうと思い、私はまたつり革を引いた。
するとまたどこからか「ひゃっ!」という声が聞こえた。
今度は先程の声とは違って女性の声だった。
私は首をかしげながら何度も何度もつり革を引いた。
そのたびに「ぎゃあ!」「うわっ!」「なんやなんや!」「あっちょんぶりけ!」などの声がした。
気が付くと車両には私だけになっていた。
どうやらこのつり革は一度引くたびに一人、どこかへ消えるようだった。
ということはもう一度つり革を引いたとき、私はどこかへ消えてしまうのだろうか。
気が付くと私はつり革を掴んでいた。
やめろ、やめるんだ。
私は自分に何度も言い聞かせたが、体はいうことを聞かなかった。
体は正直である。
ガチャン。
その瞬間、今まで消えた人が全員車両に戻った。
ちくしょう……

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